熱に強い食中毒菌 セレウス菌とは?
「食中毒を防ぐには、高温で加熱する。」―これが今までの常識でしたが
食中毒を起こす菌の中には、熱に強い菌も存在します。
ここではそんな菌の性質と食中毒の予防法についてご紹介します。

熱に強い!セレウス菌とウェルシュ菌
食中毒菌の中には、『芽胞』と呼ばれる熱に強い殻を作る性質の菌があります。その特徴を持つのがセレウス菌とウェルシュ菌です。
ここでは、セレウス菌の特徴を中心にご説明します。
セレウス菌は土壌細菌のひとつとして数えられ
土や水中などの自然環境中に広く分布しています。
そして食品への汚染の機会が多く
特に穀類や豆類、香辛料などに付着していることが多いです。
最大の特徴は熱に強いことで
芽胞を作った場合100℃で30分加熱をしても分解されません。
食中毒で有名なO-157菌は75℃で1分加熱すると死滅してしまうので
セレウス菌はとても熱に対して耐性を持っていると言えます。
セレウス菌に感染したら!おもな症状とは
セレウス菌は増殖する際に毒素を作ります。食中毒の原因となるのは嘔吐毒と下痢毒の2種類です。
日本で発生するセレウス菌の食中毒はほとんど嘔吐毒によるものです。
それでは、それぞれの症状について見ていきたいと思います。
まず、嘔吐毒は食品中で作られ
食品とともに毒素を摂取することで食中毒が発生します。
熱や酸、消化酵素に強い菌なので
体内で分解されることはありません。
この場合、食事をしたあと1時間から5時間で吐き気や嘔吐が起こります。
まれに下痢を伴うことがありますが、発熱は起こらないのが特徴です。
続いて下痢毒です。
これは菌が付着した食品を食べたことにより
腸管内で菌が増殖するのと同時に毒素が作られます。
この場合、食事のあと8時間から16時間で
腹痛や下痢を発生します。
また、嘔吐型も下痢型も重症化することはほとんど無く
大半は軽症で済みます。
どうしたら防げるの?セレウス菌予防のキホン
セレウス菌による食中毒の原因食品は米やスパゲティなどの主食や肉・スープ・プリンなどです。
セレウス菌の食中毒は菌がある程度の数まで増殖しないと発生しません。
そのため、予防するためには食品中での菌の増殖を抑えることが重要です。

【セレウス菌の食中毒予防】
■食材をよく洗浄して使用する
■加熱前の下ごしらえをした食品は長時間放置せず、冷蔵(10℃以下)で保管する
■調理した食品はすぐに食べる
■加熱後の食品を保管する場合は、必ず冷蔵する
■焼き飯やスパゲティなどを翌日再調理して食べることは避ける
また、ウェルシュ菌の食中毒はカレーやシチューなどが原因になります。
こちらも、セレウス菌とほぼ同じ方法で予防することができます。
食中毒菌の新常識として、頭の隅に入れておいてくださいね!